about豊島レモンとtil

瀬戸内海に浮かぶ自然豊かな島、香川県豊島(てしま)。
この小さな島で育つ豊島レモンには、未来への想いがたくさん込められています。
豊島レモンの栽培が始まったのは2001年。植樹のために耕作放棄地を開墾した時から、一貫して農薬、除草剤、化学肥料等の化学合成資材を使用しない栽培にこだわってきました。産業廃棄物の不法投棄事件によって、「ゴミの島」として有名になってしまった故郷を、以前のように美しい自然が溢れる豊かな島として未来に残したい。そんな想いを胸に、生産者は毎年毎年レモンの樹を植え続け、豊島はレモンの島として少しずつ知られるようになりました。
2014年7月、大切に守られてきた豊島レモンの樹々を譲り受け、合同会社til(ティーアイエル)は設立されました。それまでの栽培方法にならって、農薬、除草剤、化学肥料を一切使用せず、自然の循環に沿った方法でレモンの露地栽培を続けています。植物にも環境や景観は大切。とは、先代の生産者の言葉。都会の喧騒から遠く離れた緑豊かな島で、野鳥のさえずりが響き渡るなか伸び伸びと育つレモン。穏やかな瀬戸内海を臨むレモン畑は、訪れる人々にいつも安らぎを与えてくれます。
見た目も味も野性味にあふれる豊島レモンは、ひとつひとつが個性的です。大きかったり小さかったり、皮がつるつるだったりデコボコだったり、無傷のものもあれば、病害やとげで傷だらけのレモンもあります。そのすべてが自然の恵み。どんな見ためでも、その中には美味しい果汁がたっぷりと詰まっています。心から安心して食べられる豊島レモンとその生育環境は、未来に引き継がれるべき財産といえます。
食の安全への関心が高まる一方で、日本の農業従事者は毎年減少しています。レモンに限らず輸入に頼る農産物は多く、ポストハーベストや遺伝子組み換え作物の安全性など様々な懸念があります。食べ物とは命を繋ぐもの。安心安全な食べ物を育むためには、何よりも健全な自然環境が大切です。大量消費、大量廃棄社会の犠牲となり、自らの一部を損ない苦しみながら、豊島は人間社会のあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれました。この島で、自然環境を守りながら、持続可能な農業を営むことにはとても大きな意義があると考えます。

これからもずっと、豊島レモンを未来に繋いでいくこと。
そして、その恵みをみんなで分かち合うこと。それが、tilの目標です。
堤 郁恵/合同会社til 代表社員
岡山県出身。2014年1月に豊島に移住。レモン畑の見学をきっかけに、豊島レモンの成木1000本以上を譲り受け、2014年7月に合同会社tilを設立。栽培全般、収穫から発送まですべての業務を担当。豊島レモンを後世に引き継ぐための基盤づくりに力を入れている。レモン栽培を始めた理由はレモンが好きだから。心にも身体にも美味しいレモンを、全国各地に届けるべく日々修業中。